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加虐の皇子と愛玩ドール
第1章 公開遊戯

* * * * * * * *

 あれから一日が経って、土曜日になった。

 みおりは今夜も、開店前のレズビアンバー『Gemini』を訪ねた。

 慣れ親しんだフロアでは、とびきり豪奢なロリィタ服をまとった少女が、ソファに落ち着いていた。

 ほづみだ。

 彼女の手が、赤い液体の入ったカクテルグラスを傾けていた。

「あ、みおりさん」

 ほづみが振り向いてきた。

「こんばんは」

「わぁ、やっぱり格好良いです!私の周り、皇子っていないんです」

「そうなんだ」

「みおりさんの金髪、地毛ですか?」

「地毛だよ。君こそ地毛?」

「えへへ。長いでしょ。本物です」

 ほづみが、長い栗色の髪を手櫛でとかす。

 みおりはほづみの側に足を止めた。

 王冠の型押しの入ったトランク型のバッグを置いて、襟にファーのあしらってある黒いロングコートを脱ぐ。

 それから、ほづみの九十度隣に腰を下ろした。
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