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加虐の皇子と愛玩ドール
第5章 公認遊戯
「ほづみがみおりさんのようにしっかりしたお嬢さんにお世話になって、わしらも安心しましたよ」
「そうね。ほづみは高校生まで部活に夢中だったから、お母さん達もそんなに深刻に考えていなかったけれど……雅音から、ここに来てからは何もしていないと聞いて、相変わらずモテないのかと心配していたのよ」
「結婚の予定はあるのか?」
「鼠の国か春◯院かしら。どっちも良いわね。東京は憧れるし、京都も生きている内に行っておきたいわ」
「ほづみは雅音のバーを手伝うからなぁ。みおりさんも、この際、一緒に手伝って下さってはどうだ?」
「みおりさんはお務め先を辞められないでしょ」
「──……」
「…………」
みおりはほづみと顔を見合わせる。
面倒臭いことになったものだ。
小松と嗣朗が勝手に盛り上がるのは、百歩譲って構わないとする。だが、ほづみは間一髪で昼間のロリィタ服を身につけられたが、精神的作用こそ失せたにせよ、その身体に薬が残っているはずだ。
みおりはほづみの、彼女にしては鉄面皮な顔も引っかかっていた。
「みおりさん」
「はい」
「ほづみのどこを気に入って下さったの?」
「えっと……」
「お母さん」
「なぁに?雅音」
「そういう野暮なこと、訊いてはダメ」
「良いじゃない。ね、どこ?」
「……素直なとこです。顔も好きです」
「おお、正直だな」
「あらあら、メイク落とせば不細工かも知れないわよ」
「ほづみのノーメイクは、泊まりにお邪魔した時、何度か見てましたので」
「貴女、本当に良い方ねぇ」
と言うよりも、あれだけ激しくじゃれていれば、意図しなくても化粧は崩れる。
みおりは喉元まで込み上げてきた言葉をぐっと堪えた。
「ところで、みおりさんはイタリアン料理はお得意ですかな?」
「イタリアンですか?」
「ほづみの好物だ。いやぁ、ほづみが昔、小学校の作文でな、将来の夢は、綺麗なお姉さんと結婚して、美味しいピッツアを作ってもらうことだと書いていたんだ」
「小学生の頃からませていたわね。ピッツアなんて。パスタの方が子供らしいのに」
「お父さんっ……あんな昔の話、関係ないでしょう!」
「ダメだぞ、ほづみ。付き合っている間は良い。互いに幻想しか見えんからな。しかし、何十年も一緒にいるとなれば、そうはいかん」