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加虐の皇子と愛玩ドール
第6章 淫虐連鎖

 オレンジを基調にしっかり化粧の施してある小さな顔は、ぱっちりした目許に映える濡れた瞳がよく引き立つ。焦げ茶に近いスパイラルパーマのミディアムヘアは、泉美のフェミニンな印象をいっそう強めていて、白いシャツに淡いピンク色のミニスカートのスーツという出で立ちが、華奢ながら絶妙な肉づきの身体の線を、これでもかと言わんばかりに強調している。年のほどは、見た感じみおりと変わらなかろう、二十代後半だ。
 そして泉美の清冽な氷を打つような、端然たる芯を内包したソプラノは、淫らに喘げばさぞ妖艶な音色になるだろうと、想像力を刺激されずにいられない。

「お客様というものは、コストが抑えられたプランより、多少の根が張ったとしても、特別なひとときを十分に満悦出来るプランを選びます」

「ええ、それは、……その通りです」

「はっきり仰って下さい。苫野さんがご心配なのは、契約時の費用より、商品の善し悪しではありませんか?」

「そんなことは、でも……経理の方にも、予算の件は確認しませんと」

「分かりました」

 みおりは持参してきた紙袋を引き寄せて、中身に被せていたタオルハンカチをめくった。

 刺激剤入りのローションやバイブレーターを始め、アイマスクに簡易拘束具、仕掛け付きの貞操帯など、電車に揺られてここに来るまでの間、人目を忍ばねばならなかっただけの品々が現れた。

「契約の説明に入る前に、試用していただきましょう」

「えっ……」

「当社では営業の一貫として通常です。製品が自信を持って勧められるものであればこそ、その魅力を包み隠さないで、的確且つ簡潔にお伝えしようと努めるのは、当然ではありませんか」

「あ……えと……」

 泉美のオレンジのチークの浮かんだ頬が、忽ちにして苺に変わった。

 みおりはテーブルに乗り出して、泉美の首筋に片手を伸ばす。見目より柔らかな髪をそっとよけて、小さな耳朶に唇を寄せる。

「さぁ、着ているものを全部脱いで。可愛い人……」
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