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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
予定よりも早く城に帰ってきたリンゼイを、何事かとライラが慌てて出迎えた。部屋まで見送ったジョシュアはライラにリンゼイを頼む。様子のおかしいリンゼイには、ライラが適任だと判断したのだろう。
ライラは「お任せください」と強く頷くと、リンゼイの手を取りひとまずソファーに座らせ、自分は床に両膝をつきリンゼイの手を握る。
「温かいお茶をお持ちしましょうか? それとも先に入浴されます?」
普段は強引に話を聞き出そうとする彼女だが、ただ事ではない雰囲気を察し、優しく微笑んでリンゼイを労わる。
人前で泣くのは王族の矜持を傷付け恥だと教育を受けてきたリンゼイだったが、ライラの優しさに触れ、堪らず涙を零す。
「……噂……本当だったの」
堰を切ったように、見たことをライラに打ち明ける。涙で喉を詰まらせ、しゃくり上げながら、キャンディスとジョシュアが人目を忍んで逢瀬していたこと。彼女が望まぬ結婚をさせられること。ジョシュアが彼女の幸せを願い、身を引こうとしていること。
話に道筋を立てる余裕はなく、口をついて出るままに話す。
「わかりました。わかりましたからもういいんですよ」
ふわりとライラがリンゼイを抱き締める。温かな感触に一層大粒の涙が赤く染まる瞳から流れ落ちた。
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