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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走



 翌朝はライラが気をきかせ、モーニングティーは彼女が運んだ。


 開け放たれたカーテンから射し込む光は、泣き腫らし、ほとんど眠れず瞼が重い目には痛い。


「いいお天気ですよ! 少し散歩でもいたしますか?」


 リンゼイはカップの華奢な取っ手に指をかけ、温かな紅茶を喉に流し込みながら、無言で首を弱々しく横に振る。


「そうですか。でしたら読書はいかがです? 頼まれていたものをお運びするのを私としたことがすっかり忘れていたので」


 そう言えば、以前ジョシュアがいくつか選んでくれると言っていた。頼まれたものとはそれのことだろう。


 ライラなりに気遣って、ジョシュアの名を出さずにいてくれるのだ。


「じゃあ、お願いしてもいいかしら」


 失恋して一夜明けても、彼が自分のためにわざわざ選んでくれた本を読みたくなる。未練がましくても、気持ちというのは荷物のように簡単に整理出来ないものだ。


 諦めたくはなくとも、同じ辛い恋をしているジョシュアに、これ以上無理に迫るのは躊躇われる。だからといって、やはり簡単にこの恋を捨てられない。


 今はまだ彼と面と向かって向き合うのは辛いが、僅かな繋がりでも持っていたいと、ジョシュアが選んだ本を頼んだのだ。





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