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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走



 モーニングティーを飲み終わったあと、眼の腫れにいいからとライラが用意してくれた蒸しタオルを瞼に乗せ、寝台に横になっていた。


 すると程なくして、ノックの音が響き、人が入ってきた気配がする。焼きたてのスコーンの香りが鼻腔をくすぐる。ライラが朝食を持ってきたのだろう。


「お加減はいかがですか」


「……え? ジョシュアさん!?」


 甘く低い声音に驚き、飛び上がって上体を起こす。水分を含むタオルは、滑って寝台の上に落ちた。


「ご気分がいいようでしたら、少しでもお召し上がりください」


 寝台にいても食事が摂れるように、持ち運びが出来る小さな四角いテーブルを、ジョシュアが寝台の上に据える。そこへスコーンやサラダ、カリカリに焼いたベーコンが乗る皿を並べる。


「それからこちらが、ご用意させていただいた本です。お好みに合うかどうかわかりませんが……どうかされましたか?」


 ジョシュアの無駄なく流れるような動きに、一瞬だけ苦しさや悲しみを忘れ見蕩れてしまう。それに気付かれ、リンゼイは慌てて視線を逸らした。


「い、いえ……。あの……ライラは?」


 本や朝食は彼女が持ってくるはずだったのに、なぜジョシュアが運んだのだろう。





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