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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走



「こちらの本のご説明をさせていただくにあたり、私のほうがよろしいかと思い、私がまいりました」


「そうでしたか……」


 事情を知るライラが進んでジョシュアを寄越すはずはない。


 それにしても、やはりジョシュアは昨日のことに触れてはこなかった。言葉の端々から、リンゼイは昨夜調子を崩したことにしてくれてるらしい。


 理由を聞かれたところで答えられないのだから、好都合ではあるが。


 リンゼイは食欲はまったく沸いてこないが、手を付けないのはせっかく調理してくれたコックに悪いと思い、スコーンを手に取り小さく千切り、口へと運ぶ。


 その間、ジョシュアが本の説明をする。


「──こちらは冒険譚、こちらはファンタジー、そしてこちらは恋愛小説になります」


 分厚いものから手軽に読めるものまで、何冊もある本のすべてをジョシュア把握しているらしく、一冊、一冊手に持ってはリンゼイに教える。


 その中で、最後に説明を受けた本の背表紙にリンゼイは眼を留めた。


「あ……それは……」


「こちらですか?」


 リンゼイは口許と指先をナフキンで軽く拭き、ジョシュアが手渡す本を受け取った。






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