この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走



「ラインハルトの出版社がカンターヌに進出しているため、誤解されている方も多いようですよ」


 ルビーの本に刻まれる出版社は、カンターヌにあるものだ。だがそういう事情があったのか、と納得する。


「我が国のこともお詳しいんですね」


「いえ、たまたま耳にしただけです。では何かありましたらお呼び下さい」


「はい……。ありがとうございます」


 一揖して出て行ったジョシュアを見送ると、リンゼイの口から嘆息が漏れた。


 本の話題があったから、ジョシュアと普通に話せた。泣いていたことも、告白もなかったかのように。


 いや、そもそも真にふたりの間になにもないに等しい。キャンディスのように自分は彼の心を乱す存在でもなければ、告白も子供じみたものだったせいで、本気で受け止めてはないのかもしれない。


 リンゼイはジョシュアが出て行った扉を見詰め、そっと寝台から抜け出す。


 そしてドレッサーを一点に見詰めたあと、隣の部屋に行き、バルコニーのある大きな窓を開けた。


 ライラが言った通りだ。突き抜けるような青空が天を包んでいる。


 同じ空の下だというのに、祖国とはどことなく違う空気を胸に吸い込む。


 その胸になにを思ったのか──僅かに伏せた瞼の奥にある彼女の哀しげな瞳は、青空に似つかわしくない影を帯びていた。






.
/408ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ