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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
ルビーの新作は、辺境の地の貧乏貴族の娘が、とある事情から双子の兄に成り代わり、首都にある城へと赴くところから始まった。
最初こそドタバタとした軽快な話だったのが、ひょんなことから城に住む王子に女とバレ。紆余曲折を経て娘と王子が結ばれる極上のラブロマンスだった。
「はぁ……」
リンゼイが悩ましげな溜め息をつき、本を閉じた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。一日かけて一冊読み切ってしまったのだ。
頃合いを見計らったのか、ライラが入浴の手伝いに来た。
「さあさあ、今日はこのくらいにして。お休みにならなくちゃいけませんよ」
ライラはそう言ってリンゼイの背中を押して、浴室へと誘う。
シャボンがたっぷり浮かぶバスタブで、頭の先から足の爪先までしっかりと磨きこまれ、それが済むと乾いた清潔なタオルでライラによって丁寧に髪を拭かれる。
ドレッサーの前に座らされ、するすると髪が櫛で梳かれる。鏡に映るリンゼイの顔のむくみはすっかり取れていた。
「ねぇ、ライラ。私ね、国へ帰ろうと思っているの」
「え……?」
唐突に切り出すと、ライラは瞠目し、持っていた櫛を落とした。
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