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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
「な、なぜですか!? 私になにか至らない点でもございましたか!?」
ライラはリンゼイの横に来て、膝をついてリンゼイを見上げる。
「そうじゃないの。ライラにはとても感謝しているわ。私、ライラがいたからホームシックにもならなかったのよ」
「でしたらなぜです? だってまだ、一ヶ月以上も先ですよね?」
「そう、ね……。でも私はジョシュアさんに会いたい一心で……ジョシュアさんと心を通わせたくてはるばるラインハルトまで来たの。でも……」
ジョシュアの心にはキャンディスがいた。ただのライバルならばまだ頑張れた。だが望まぬ結婚を強いられる立場はリンゼイも同じで。それがどれだけ辛く、苦しく、恐ろしいものか解るからこそ、ふたりの間に割って入ろうと思えないのだ。
「本当に諦めてしまわれるんですか?」
「……諦めたくはないけど、仕方ないもの」
「ですが……!」
ライラはリンゼイが婚約させられそうなのを知らない。だからなのか、説得しようとしてきたが……。
「あのね、ライラ。ひとつだけ心残りがあるの。言付けを頼まれてくれないかしら」
ライラの言葉を遮り、リンゼイは弱々しく微笑む。その消え入りそうな笑みにライラは言葉を発するのを我慢したのか、口を閉じ、頷いた。
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