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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
「ジョシュア……さん?」
媚薬の効果が現れたのは明らかだった。額に当てる白い手袋を嵌めた指の隙間から見える額には薄っすらと汗が滲み、サファイア色の双眸はひどく酩酊したときのように視線が定まっていない。
「リンゼイ様……。どこもおかしなところは……ありませんか? 薬が……薬がポットに仕込まれていた可能性があります。……すぐ医師を……」
胸元を握り、ジョシュアは苦しそうに喘ぎながら、自分の身を顧みず、リンゼイを案ずる。その様にリンゼイの心が軋んだ。
「ごめ……んなさい。私……」
ふらふらと立ち上がろうとするジョシュアにリンゼイは涙を浮かべ、自らも立ち上がり恐る恐る近づく。
「なぜ謝るので……まさか……」
「ごめんなさい、ジョシュアさん。お辛いでしょう? すぐ楽にしてさしあげますから」
リンゼイが薬を仕込んだだろうことは、ジョシュアが苦しむ様に動揺していないことから察しただろう。そして彼女がジョシュアの胸にそっと触れ、途端に身体がびくりと反応したことから、それがどんな薬なのかも理解しただろう。
「なぜこんなことを……!」
酩酊する彼の双眸にはっきりとした怒りが浮かび、リンゼイは怯みそうになるも、すでに後には退けなかった。
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