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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
だがここにはジョシュアが冒される媚薬の効果を散らす相手はリンゼイしかいないのだ。彼がどれだけキャンディスに恋い焦がれようが、この場にいない彼女を抱けはしない。
「すべて私のせいですから。だからジョシュアさんが気に病む必要もありませんわ……」
ふたりの恋路を邪魔するつもりはない。彼が彼女を裏切ったと思う必要もない、と暗に告げる。
そして必死で拒絶をしてみせる彼の頬にそっと手を重ね、瞼を閉じて彼の美貌に顔を近づける。
「リ……ッ!」
叫ぼうとするジョシュアの唇を塞ぎ、リンゼイの唇が重ねられる。
夢にまで見た恋する相手との初めての口づけ。柔らかく温かい感触に、閉じたリンゼイの瞼がふるりと震えた。
嬉しさと、そして愛されていないと知りながらの口づけに、眦から涙が流れる。その滴が頬を伝い、ジョシュアの肌に零れ落ちた。
そっと離れ、静かに瞼を開けると、驚愕に眼を見開く彼がいる。そのジョシュアに向かい、泣き笑いを浮かべる。
「リン、ゼイ……様」
「ジョシュアさん、愛しています。多くは望みません。ただ一度きり……私の初めての相手になってくださるだけでいいんです」
そう言ってリンゼイは彼に乗ったまま、ナイトドレスの上に羽織るガウンの腰紐を解いた。
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