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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり




 だが階段に差し掛かったところで、ふと別のことが気になり始めた。


「あ、あの! 本当に自分で歩けますから……」


「もうすぐお部屋に着きますから。もう少々我慢してくださいますか」


「そうじゃなくって……その、重いでしょう?」


 いくらリンゼイが13歳の子どもで、その年齢にしては小柄だといっても、庭園からここまで運び、さらには階段を昇るのは腕が疲れてしまう。


 こんなことなら毎日のティータイムに出されるお菓子を目一杯食べず、姉のように体型に気遣えばよかったと、リンゼイは泣きそうになりながらジョシュアに告げる。


「いいえ、重くなどございませんよ」


「う、嘘です。重くないはずないです……」


「嘘など申しません。それに我が主から王女さまをお部屋にお連れするよう命じられました。どうかこのままお連れさせてもらえませんか」


 穏やかな声と甘やかな笑みで言われてしまうと、頷かざるを得ない。


 ドキドキして、身体中が発火したように熱くて、息が詰まりそうで。


 本当に自分はどうしてしまったんだろうか?


 ジョシュアに運ばれる最中、ずっと落ち着かない気持ちでいた。






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