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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
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それから数日。気がつけばリンゼイの口からはため息が漏れる。それは決まってジョシュアのことを考えているときだ。
というよりも、一日中ジョシュアのことが頭から離れないのだ。
その間、スチュワートはお見舞いだとかこつけてリンゼイを訪ねて来たが、いつものように必死で逃げることも騒ぐこともなく、気の抜けた返事を繰り返していると、本気でどこか悪いのかと心配させてしまったりもした。
だが近寄られるのもあれほど嫌だったスチュワートの存在さえ霞むくらい、リンゼイの中をジョシュアが埋め尽くしてしまっている。
晩餐の席でレオナルドの後ろに控えるジョシュアの姿を目にするだけで、そわそわと落ち着かなくなる。
時おり窓から見かけると、誕生日と国の祝い事がいっぺんに来たときのように嬉しくなってしまう。
声を耳にしたときには、自然と笑顔にもなってしまう。
なのに独りきりでジョシュアのことを考えるとため息が出てしまうのだ。
リンゼイが一日で一番楽しみにしているティータイムも、銀の皿には手付かずの様々な菓子がこの日も山盛りだった。
席を共にしていた姉──イレーネが、心ここにあらずのリンゼイに悪戯っぽい視線を投げているのも気付かずに。
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