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王女様の不埒な暴走
第5章 暴走の果ての悲劇
ライラはヨロヨロと足をもたつかせながら、寝台の脇に立ち膝になる。
「正直にお答えください。昨夜ジョシュアさんと……情を交わされましたか?」
今までになく真剣な表情でライラが訊ねてくる。逡巡したのち、リンゼイは口を開いた。
「ごめんなさい……。ライラを騙すつもりはなかったの。でも相談したら反対されると思って……」
「あ、当たり前です!」
突き刺すような叱責が飛んでくる。
「そりゃあ、リンゼイ様の恋は応援しておりました。でも段階を踏み、お心を通わせ、レオナルド様に協力を仰いでから、そうしたことに至るべきでしたのに……!」
ライラの強い叱責に、リンゼイは下唇を噛んで項垂れる。
「……ごめんなさい。ライラを騙したんだから、怒るのも当然よね」
「いいえ、そのようなことで怒っているわけではありません。リンゼイ様が深く後悔され、傷付かれるからです」
「どういうこと……?」
確かにライラを騙した罪悪感はあるが、ジョシュアに抱かれた後悔は微塵もない。もちろん彼への未練はあるが。
思い出すだけで幸福に満たされるあのひと時は、もう二度と来ない。ジョシュアをキャンディスから奪うつもりもない。彼の心は今もキャンディスにあるだろう。
すべてを承知し、覚悟の上で抱かれたのだ。後悔するはずなどないのに、なぜライラは決めつけた口調で言うのだろうか。
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