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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案
「レオ様、失礼いたします」
「ああ、入れ」
レオナルドはジョシュアが起こす前から既に支度を始めており、手ずから上着を着ようとしていた。
ジョシュアは優雅な動きでレオナルドの背後に回り、上着を着るのを手伝う。
「お早いですね」
「まぁな」
腕を通し終えたレオナルドの背後から、今度は前方へ回り込み、襟元の乱れを正し、その他の乱れがないか細かく気配る。
「なんか疲れた顔してないか?」
レオナルドが眼を眇め、ジョシュアの顔を覗き込んだ。
誰にも気付かれなかった疲労をレオナルドは見抜く。誤魔化したところで、彼には通用しないだろうことは、長年仕えてきたジョシュアには解っていた。
元より誤魔化すつもりはなかったが。
「……レオ様。お話したいことがございます。私に少々お時間をいただけないでしょうか」
「なんだよ、改まって。まあいい、あっちで話そう」
レオナルドは長椅子に腰掛ける。目の前の机にジョシュアはお茶を用意した。
「お前も掛けろ」
「いえ、私はこのままで結構です」
「相変わらず堅いな。で、話というのは?」
レオナルドの勧めを断り、ジョシュアは手袋を嵌めた手を身体の前で重ね、神妙な顔付きで切り出した。
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