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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案
「……昨夜、リンゼイ様と情を交わしました」
ジョシュアが静かに告げると、レオナルドは飲んでいた紅茶を噴き出しそうになりながら噎せる。
慌ててレオナルドの背を擦ろうとすれば、レオナルドは掌を掲げ制止した。
「今、なんて……?」
「お聞きになった通りです。……すぐに私の首を跳ね、カンターヌに送りつけてください」
ジョシュアの進言にレオナルドは驚愕に眼を見張り、ジョシュアの顔をまじまじと見詰める。
レオナルドとて解っているはずだ。これが両国のバランスを保つ最善の策である、と。
長きに渡り、友好関係を築いてきたラインハルトとカンターヌの両国。歴史を辿ると幾度も国の要人が行き来し、盛んに貿易が行われ、王族や貴族が婚姻を結んだ例もあった。
だがその関係が、一国の王女を王太子付きの執事が穢すという事態により崩れようとしている。
カンターヌ国王は言うだろう。我が国を信頼し、任せていた責任を取れ、と。だが王太子付きと言えど一介の従者であるジョシュアに、リンゼイを娶るのは不可能。監督不行届きでレオナルドが責任を取らされるのは必然。王太子位の退位をもってして謝罪の意を示すことになり兼ねない。
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