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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案



 だがそんなことを誰よりも一番ジョシュア自身が赦せるはずない。


 レオナルドが幼少の頃から仕えてきたジョシュアには、返しきれないほどの大恩がある。自分の過ちで彼が退位するなど、あってはならないのだ。


 暫し視線が交わされたあと、レオナルドは深く嘆息し、膝に肘をついて両手の指を組み、そこに額を乗せた。


 俯いた彼の表情は窺い知れないが、落胆と悲哀、そして憤りを感じているだろう。


 レオナルドの信頼を勝ち得ている自負はある。その信頼を裏切ってしまったのだ。その罪は命をもって償っても、償いきれないくらいだ。


「……どちらからだ」


 僅かに震える声で問われる。注視しないと解らないくらいだが、肩も震えていた。


「……」


「……いや、愚問だったな。お前からということはない。つまり彼女からか」


「どちらからかというのは大した問題ではございません」


 激情に駆られ、欲望が命じるまま快楽と彼女を貪ったのはジョシュアだ。この事態を招くのは、火を見るより明らかだったのに。


「だがお前が易々と誘いに乗るわけないよな。……薬でも盛られたか」


 状況を分析する冷静さはまだあるようだ。しかし声や肩の震えが増した気がする。






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