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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
心当たりならたくさんあった。
レオナルドに付き従いカンターヌを訪れたジョシュアを初めて見たとき、とても綺麗な人だと思った。
黄金の髪も、サファイア色の瞳も、白皙の肌も。カンターヌで採れる煌びやかな宝石が霞んでしまうくらい美しく、彼の周りだけキラキラと瞬いて見え、一目で心を奪われた。
けれどそのときは、美しい装飾品を愛でるときと同じなのだと……。
だが数日前、常に唇を固く結び無表情を貫いていたジョシュアがリンゼイに初めて見せた笑顔。心臓が飛び跳ね、騒ぎ出し、嬉しくて嬉しくて、でもキュッと心臓が今度は縮んで。
(これが……恋?)
そうだ。自分はジョシュアに恋をしてしまったのだ。
「お姉さま、私……恋、しました」
零れるよう姉に打ち明ける。
「ええ、わかるわ。とーっても素敵な人だものね」
「……はい」
「美しくて聡明で。それに高貴で」
「……はい」
「私ももう少し若かったら、彼に恋しちゃっていたかも」
「……はい……え?」
「なんて、冗談よ、冗談。私はもう嫁ぐ身だからリンゼイのライバルになんてならないから安心して」
きょとんとするリンゼイの鼻をちょんと人差し指で姉はつついた。
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