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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案
「レオ様はこの国にとってなくてはならない方です。王としての器量は誰もが認めるところであり、この国の未来にとって不可欠な方なのです。退位などあってはなりません」
「その俺にとって、お前は必要不可欠だ。ジョシュアこそ解っているのか」
「ッ」
レオナルドの信頼を裏切った自分に、そこまで言ってもらう価値などないのに。彼が自分の立場より他人を優先させる人物だからこそ忠誠を誓ってきたわけだが、今はその性格が仇でしかない。
「……王女の話に戻そうか。仮にジョシュアが王女を無理矢理犯したことにし、斬首されたとしよう。それで彼女の立場や矜持は守られる。国王たちは傷ついた彼女を優しく受け入れ、こう言うだろうな。“すべて忘れ無かったことにして、私たちが決めた相手と結婚しなさい”と」
十分に有り得る話だ。だが──。
「そう。彼女自身は受け入れられない。なぜ? 決まっている。個人の感情を優先すべき立場でない彼女が、それを解っていてもジョシュアを想う気持ちを捨てきれないくらい愛しているからだ。愛する男を死に追いやって、他の男に嫁ぐ? 有り得ない」
レオナルドに断言されるまでもない。彼女の真剣な気持ちを目の当たりにしたジョシュアが誰よりも理解していた。
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