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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案
他の男に嫁ぎ、幸せに暮らすならばよし。しかし、幸せになる様よりも、ゆっくりと壊れていくリンゼイの方が容易に想像できてしまう。
「次に仮ではなく現実的な話をしよう。まだ公にはなってないが、王女は伯爵子息と婚約の話が出ているらしい」
「な……!」
「驚いたか? じゃあその相手があのスチュワートと聞いたらもっと驚くか?」
レオナルドの見定めるような強い視線に射抜かれる。衝撃だった。すでにリンゼイに婚約の話が出ていたとは。それもスチュワートと。
ジョシュアの記憶するスチュワートは横暴で粗野な男だ。階段から落ちそうになったリンゼイを助けたジョシュアに対しても、いきなり怒鳴り喚き散らすような幼稚な性格で。まるでリンゼイを自分の所有物かのような物言いもしていた。
現在はどうかは知り得ないが、あの頃リンゼイはスチュワートに怯えているように見受けられた。苦手意識というのはそうそう変えられないものだ。
そんな男とリンゼイが婚約し、結婚までしてしまえば、リンゼイが不幸になるのは目に見えている。
犯されたとはいえ、他の男に処女を捧げた彼女を日々責め立てるだろうし、自尊心を砕き続ける言葉も吐くだろう。もしかしたら肉体への暴力も……。
頭を振り、嫌な想像を払ってしまいたいが、浮かぶ悲惨な様がこびりついて脳裏を支配する。
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