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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案




「キャンディス嬢とジョシュアが?」


「ご存知なかったのですか……?」


 ライラの口振りでは相当噂になっているようだったし、レオナルドも夜会でキャンディスと親しげであったことから、当然知っているとばかり思っていたが、余計なことを口走ってしまっただろうかと、リンゼイは不安になる。


「ああ……いえ、たしかに愛し合ってはいますが……」


 レオナルドは思案した様子を見せたあと、肯定する。歯切れが悪いのは、リンゼイの気持ちを思い遣ってのことだろう。


「なるほど、それであの日泣いておられたんですか。なにかご覧になってしまわれたんですね」


 リンゼイは肯定も否定もしなかった。ただ伏目がちの双眸を哀しげに揺らすだけ。


「ジョシュアの中で彼女とのことは、すでにケリがついていますよ」


 レオナルドはそう言って慰めてくれる。けれどリンゼイの心は晴れない。あの場面を見たら、ケリがついているとは到底思えないからだ。百歩譲ってジョシュアが気持ちにケリをつけていたとしても、キャンディスのほうは違う。


 ジョシュアを愛しているのに、他の男と結婚を迫られている。まるで自分の姿を見ているようで、ひどく胸が軋む。






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