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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案




 レオナルドに秘めた想いを勘付かれていた。多少驚きはしたが、姉にだってすぐにバレたくらいだ。おかしな話ではない。


「王女。起こってしまったことを悔いても仕方ないでしょう? それよりも、我々全員が助かる道を模索するほうが、より意義のあることだと思いませんか」


 リンゼイを覗き込むレオナルドの琥珀色の双眸は、太陽の光を吸い込みキラキラ輝いていて、人を安心させる力がある。


 レオナルドの言う通りだ。落ち込んで震えていたってジョシュアを助けられるわけじゃない。親身になってリンゼイを力づけてくれるレオナルドを退位させるわけにもいかない。


 彼が見せる明るい笑顔につられ、リンゼイも口許に笑みを浮かべて頷いた。


「よかった。では次の策についてお話しましょうか」


 リンゼイは気持ちを切り替え「はい」と力強く言う。


「先のふたつはまぁ、冗談みたいなものです。次の策が本命ですから心して聞いてください」


「じょ、冗談……ですか」


 冗談にしてはいやに現実味を帯びた話しぶりだった。彼なりに空気を軽くしようと気遣って言ってるだけかもしれないが、冗談というのが本心だったら、少しだけ彼が怖くなる。苦境の立場に立たされて尚、苦境さえ愉しんでいるからだ。


 そんな底知れぬ彼に怖さを感じつつ、頼もしさも覚える。彼がいれば、どうにか乗り越えられるのでは、とリンゼイはレオナルドの話に耳を傾けた。





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