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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案




「これは俺宛に届いたカンターヌからの密書だ」


 密書というわりに、堂々と見せるレオナルド。カンターヌからということは、リンゼイ絡みの内容だろう。


「届いたのは王女が来国される以前だったんだが、内容が内容だけにどうするかと思案していたんだが……ちょうどいい適任者が現れたんだ。ジョシュア、お前だ」


「一体、どのような内容なのですか」


 レオナルドは未だ混乱冷めやらぬリンゼイをチラリと見る。俯いているリンゼイはその視線に気づいてないが。


「この手紙によれば、王女は男に免疫がなく嫌っている節さえあり、ゆくゆく結婚に支障をきたしそうなので、どうにかしてくれ、とのことだ。ついでに男の誘惑の仕方も教えてやってほしいそうだぞ」


「…………え? ええっ!?」


 どうにか聞き取れたレオナルドの声。理解はやや遅れ、ようやく言葉の意味を理解し、思わず驚愕の声をあげる。


 ジョシュアは眉を顰め、冷静に「見せていただけますか」と掌を差し出している。


「駄目だ。密書と言ったろう」


「内容を明かしている時点で密書とは言いません」


「駄目だと言ったら、駄目だ。けど王女になら見せてもいい」


 レオナルドは封筒を大理石の机に置き、束ねた指でリンゼイの方へと滑らせる。リンゼイはその封筒になかなか手を付けなかったが、意を決してそっと両手で持った。





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