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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案



「ほらな、嘘は言ってなかっただろ?」


 得意げに言うレオナルド。ジョシュアは眉根を寄せ、苦々しい面持ちだ。


「今日は一日休まれて、レッスンは明日から開始でよろしいですか」


 すでに決定事項のように話されて、リンゼイは慌てて首を横に振る。


「い、いいえ、結構です! 他にやるべきことが沢山あるときにそんな……」


「そういうわけにもまいりません。貴国の王太子から直々に頼まれたんです。無視はできませんよ。というわけで。頼むぞ、ジョシュア」


「……かしこまりました」


 リンゼイの話も無視しないでほしかった。ジョシュアも了承しないでほしい。


 主の命令なのだから背けないのは解るが、ジョシュアだって本心ではリンゼイと顔を合わせるのが嫌なはずだ。リンゼイの世話係から外して欲しいと言いたいはずだ。


「それでは私は失礼させていただきます」


「お、お待ちください、殿下……!」


 彼が断われないなら自分が強く断るべきだと、退席しようとするレオナルドを立ち上がって呼び止めようとすれば、バランスを崩して前のめりに倒れそうになった。


 足腰に力が入らないのを忘れていたのだ。




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