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王女様の不埒な暴走
第6章 王太子の提案



 傾くリンゼイの身体を受け止める、力強い腕。咄嗟に駆け寄ったジョシュアが受け止めたのだ。


 鼻腔を擽る彼の甘いパルファム。香りが昨夜の記憶を呼び覚まし、リンゼイの身体に甘い痺れが走る。震える瞳で見上げると、サファイア色の双眸と眼が合う。


「大丈夫ですか」


「あ、や、わ……ご、ごめんなさい!」


 リンゼイは真っ赤になりジョシュアから離れ、膝から落ちるように椅子にトスンと腰を下ろす。


 その様子を見ていたレオナルドはクスクスと笑っている。


「ジョシュア。王女を寝室に運んで差し上げろ。随分と“お疲れ”のようだからな」


 疲れているとわざわざ強調しないでほしい。今さらだが、レオナルドにジョシュアとの睦み合いを大胆にも告白していたことを思い出し、ますますリンゼイは顔を赤らめる。


 レオナルドが退室し、二人きりになると、気まずい沈黙が流れる。


 下唇を噛んで気まずさに俯くリンゼイの身体がふわりと浮く。ジョシュアが抱き上げたのだ。


「え? ジョ、ジョシュアさん!?」


 間近に迫る彼の美貌にリンゼイは慌てる。


「寝室にお運びするだけです。じっとしていてください」


「だ、大丈夫です! ひとりで歩けますから」


「まともに立ち上がれもしないのにですか?」


「う……。……ごめんなさい」


 彼の前で失態ばかりする自分がほとほと嫌になる。




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