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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
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あくる日、姉に話せたことで気持ちが軽くなったリンゼイは、懲りもせず食べ過ぎた菓子の分を消費させるため運動でもしようと、庭へ散歩に繰り出す道すがら、反対側から歩いてくるジョシュアの姿に思わず足を止める。
緻密で精巧な彫刻が施される柱の陰に隠れ、髪やドレスは乱れていないか、食べカスが口許についていないか手早く確認する。
今日着ているドレスは裾と袖にふんだんにレースが使われ、光に反射するようにカットされたクンツァイトが散りばめられた淡いピンク色のもので、姉からよく似合っていると賞賛を受けたドレスだった。
コルセットを締めるほど胸は育ってはいないが、いつジョシュアに会ってもいいよう、着つけてくれる侍女には少しでも細く見えるようきつく締めてもらっていた。
(どこも変じゃないわよね?)
逸る気持ちを抑えつつ、リンゼイは柱からしずしずと歩みを進める。
するとジョシュアもリンゼイに気づいたようで、目前まで来ると道をあけて頭を下げる。
普通使用人というものは余程仲が深くない限り、用もなく主人やそれに準ずる者へ声はかけないものだ。
ここでリンゼイから彼に話しかけなければ、せっかくの機会を逃してしまう。
リンゼイは緊張で卒倒しそうになりながらも、勇気を振り絞ることにした。
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