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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
「ジョ……ジョシュアさん。おひとりですか?」
震える声で話しかけると、ジョシュアは伏せていたおもてを上げる。
「はい。レオ様は両国王さま、王妃さま、それにジュド殿下とご歓談中にございます」
「そうでしたか。あの、ジョシュアさんはどちらかへご用でも?」
「レオ様が必要とされている資料を、こちらの図書室をお借りしてご用意しようと向かうところです」
「そ、それでしたら、私にもお手伝いさせてもらえませんか?」
ジョシュアと少しでも一緒にいたい一心からか、咄嗟に懇願してしまう。すると彼は面食らったよう驚いて、だがすぐに悠然さを取り戻す。
「そのようなこと、王女さまにさせるわけにまいりません。お気持ちだけ頂戴しておきます」
「あ……でも。あそこは広いですし、私のほうが詳しいですし。それに実は、私も行こうとしていたんです!」
図書室とは反対方向へと歩いていたのだから、この言い分が不自然なのは明らかだ。だがリンゼイの勢いに観念したのか、ジョシュアはそれ以上追及せず、リンゼイの同行を許してくれた。
ジョシュアが頷いてくれたときには我慢しきれず、リンゼイは満面の笑みを咲かせた。
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