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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり



「ありがとうございます。とても助かりました」


「いえ! もう……いいんですか?」


「はい。王女さまのお蔭ですべて揃えることができました」


「そう、ですか」


 ジョシュアは分厚い本を何冊も抱え、丁寧にお礼を言ってくる。彼の仕事が無事に終わったのだから喜ぶべきことなんだろうが、楽しい時間があっという間に終わってしまい、リンゼイは落胆を隠せない。


 ジョシュアと過ごす口実ももうない。これ以上食い下がっても、子供の我が儘になってしまうだけだ。


 リンゼイはしょんぼりと肩を落としつつジョシュアに挨拶をして、当初の予定通り散歩にでも行こうか──だけどそんな気分でもないな、と考えていると。


「では次は私が王女さまにお付き合いする番ですね」


「……え?」


 思わぬ提案に、リンゼイは可愛らしい瞳を瞬かせる。


「王女さまに私めの仕事を手伝わせ、私が王女さまになにもしないのは不公平でしょう? ですから王女さま。なにかなさりたいことはございますか?」


「で、でも……。ジョシュアさん、資料を作らなければならないんですよね?」


「そのようなことはお気になさらず。それとも私がご一緒するのはお嫌ですか?」


「とんでもありません! じゃあ……ジョシュアさんのお好きなこと教えてもらえませんか」


 勢いに任せ身を乗り出してしまったが、はしたないとゆっくりと身を引いて、控え目に聞いてみた。






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