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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
「ジョシュアさんの部屋はあちらです。私はここで見張っておりますから。頑張ってください」
廊下の角でこの上なく怪しい見張り役となってしまったライラに激励され、リンゼイは複雑な気持ちでジョシュアの部屋の前に歩みを進めて立つ。
大きな音を立てるのは躊躇われ、控え目にノックする。
「──どなたですか」
薄く開かれた扉の先には、いつものお仕着せ姿ではなく、シャツとトラウザーズ姿のジョシュアが立っていた。
「あ、あの……」
「リンゼイ様? なぜここに」
「すみません。あの、ちょっとお話が……いえ、それがその……」
枷の正体も解らず、言われるがままに訪ねたはいいが、どうやって中へ入れてもらおうかも考えておらず、リンゼイは困り果てて口籠る。
「お話でしたら明日お伺いします。お部屋にお帰りを」
早々に帰そうとするジョシュア。リンゼイはどうしたものかとライラのいる方に眼を向けると、彼女は腕を振り上げて後ろを指す仕種をしている。
「あ……どうしましょう!? 人が来るみたいです」
焦った口調で言うと、人一人が通れるくらいに扉が開かれ、腕をぐいっと掴まれ引き入れられた。
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