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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
「私が決めていいんですか?」
王子は王妃に確認し彼女が頷くのを見ると、小さく首を傾げたあと、夫人を指さす。
「じゃあ、この者、手打ちにしてください」
「そ……っ! そんな! 待ってください! 王子さま!!」
純真無垢な顔で無情な決断をする王子に、夫人は「ひっ」と喉を鳴らし、指を組んで赦しを乞うた。ジョシュアも信じられない気持ちでその様子を見ている。
こうもあっさりと人の命を絶つ決断をする王子に恐怖さえ感じた。
「レオ、本気で言っているの?」
「はい」
「そう……」
王妃は怯える夫人をチラリと見上げ、それからなぜかジョシュアに対し微かに微笑んだ気がした。
「あなたが決めたなら仕方ないわね。夫人は可哀想だけど、兵を呼んで捕えさせてもらいます」
「お、お待ちください! どうか命だけはお助けください! なんでもいたしますから!」
「こう言っているけど、どうするの、レオ」
「そうですね……。じゃあ手打ちにするのはやめます! 代わりに彼を私にください」
にこりと笑った王子はジョシュアを指さした。
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