この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
ジョシュアとキャンディスは長椅子に並んで座り、逢えなかった月日を埋めるようにたくさんのことを語り合う。
彼女が育ての親である侯爵夫妻から本当の両親や兄のことを聞かされたのは物心のついた頃で、侯爵夫妻に手伝ってもらいジョシュアを探していたこと。
しかし働いていたはずのエドガー家をすでに出たあとで、男爵夫妻はジョシュアがどこにいるか知らないと言い張り、頼みの家令は他界してしまい、他の使用人たちも夫人を恐れジョシュアが王城に行ったと口を割らず、捜すのが難航したこと。
そんなときに侯爵にレオナルドからジョシュアがキャンディスの兄である可能性があり、彼女が元々はクラーク伯爵の娘だったかどうか確認があったことなど詳しく話してくれた。
ジョシュアもレオに拾われてから幸せに暮らしてきたと伝えると、彼女は涙を流し悦んでいた。
キャンディスと再会してからというもの、こうして時おり人目を忍んで逢っては時間が赦す限り語り合い、そのうち彼女に好きな人が出来たことやその彼と恋人になれたことも自分のことのように嬉しかった。
しかしこの幸せな時間はそう長くは続かなかった。そう、ジョシュアとキャンディスの噂が立ち始め、その噂はジョシュアの耳にも届いていたのだ。
.