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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
「でも、どうして私にそのお話をしてくださったんです?」
きっとジョシュアはこれからも本来の身分を隠していこうとしていたはずだ。たとえ拷問されたとしてもリンゼイは彼の秘密を誰かに漏らすつもりはないが、秘密を知る人物が増えても彼にとっていいことはない。
「わかりませんか?」
「はい……」
「案外鈍いんですね」
ジョシュアにクスクスと笑われ、ますます訳が解らない。たしかに鋭いとは言い難いが……。
「あなたを他の男に取られたくないからですよ」
「え……?」
「ですからリンゼイ様に恋慕を抱いてしまった、と言ったんです」
恋慕……?
つまり……ジョシュアが、自分を……好いてくれている?
いや、そんなはずない。冗談にしては質が悪い。
リンゼイは頭が真っ白になり、穏やかな笑みを湛えるジョシュアをまじまじと見詰める。
「嘘……です。だって私……ジョシュアを襲ってしまって……」
「あれには参りましたね」
彼はクツクツと笑う。
「それに……男の方を誘惑するレッスンだって、ジョシュアさんがして……」
そうだ。他の男を誘惑する仕方を教えたのはジョシュアだ。だから彼が自分を好いているだなんて信じられない。
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