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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
だがジョシュアはリンゼイの信じられないという気持ちをきっぱりと否定するどころか、もっと信じられないことを言い出す。
「しましたよ? 私を誘惑するレッスンを」
「……ッ!?」
「それにリンゼイ様は、本気であのようなレッスンをレオ様がお命じになられたと思っていたんですか?」
「……え」
「レオ様が命じられたレッスンは、リンゼイ様がおっしゃっていたような、男に身を寄せて腕を組んだり、思わせぶりに見詰めたりするようなことです」
「な……」
リンゼイは驚愕で一瞬言葉を失うが、真っ赤になって反論する。
「じゃあなんであんなは……恥ずかしいレッスンなんて……!?」
「決まってるじゃないですか。役得です」
ジョシュアは悪びれもせずに言う。キャンディスはジョシュアに告白されているというのも忘れ、ポカンと口を開けたままだ。
そんなリンゼイを置き去りに、ジョシュアはフッと眼を細める。
「お慕いする女性の色々な表情を見たいと思う男の心理、というやつです。どうかお赦しください」
それはジョシュアに対しリンゼイが抱いた感情と同じものだった。彼の色んな顔を見たい、彼のことをもっと知りたい。
同じことを思ってくれていたんだと知り、ジョシュアの告白は嘘でも冗談でもなく真実なんだと、じわじわと実感してくる。
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