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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る
「でも本当に気を付けなきゃならないわよね」
リンゼイは顔だけでなく、気を引き締めるように呟く。
「リンゼイ様? まさか……レオナルド様の私邸でなにかあったんですか!?」
背でリボンを締めていた手を休め、ライラが前方に回り込んできて腰を折って訊ねてくる。リンゼイはライラの鋭い勘に、心臓を大きく跳ねさせた。
「それがその……」
睨みあげるライラにたじろぎつつ、リンゼイは昼間あったことを思い出す。
今日はジョシュアがレオナルドと出掛けていた。これはジョシュアが爵位を得るために、とある侯爵に逢うためだそうだ。
その侯爵夫妻には子供がおらず、爵位を近縁の男に相続させるはずが、その男が数年前に不慮の事故で他界してしまい、爵位を継がせる者をどうするか悩んでいるという話をレオナルドは聞いていたのだ。
そこでジョシュアを養子に迎えてくれないか、とレオナルドと共に頼みに行ったらしい。まだ了承を得ていないものの、上手くいけばジョシュアは次期侯爵となれる。
なぜ養子という方法を取るかといえば、通常の方法だと領地の分配など様々な問題があり、手続きなどを含めるとリンゼイが帰国するまでに間に合わないからだ。
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