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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る
リンゼイが伯爵邸で催される夜会へ出席するための準備中に、他の執務をしていたジョシュアが迎えに来てくれて、彼を伴い会場に向かう。
馬車に乗り込む際、馭者が帽子を取り一揖する。その彼にリンゼイも「よろしくお願いします」と言って笑顔で返す。そしてジョシュアに手を取られ、乗り込んだ。
夕刻になると道行く人は徐々に減り、代わりに行き交う馬車が増える。仕事帰りの者だったり、リンゼイのように夜会へ出掛ける者だったり。
石畳の上をガラゴロと車輪が転がる音を耳にしながら、リンゼイは正面に座るジョシュアの美貌にうっとりと見蕩れていた。
リンゼイは社交界に出るようになってから多くの男性と知り合ったが、彼ほど美丈夫な男はそうそういない。それだけでなく紳士的で、仕草も優雅で。そんな彼が自分の恋人だと思うと、頬は自然と上気し。けれどまだ夢見心地で信じられず、ドキドキしてしまうのだ。
「どうかされましたか」
うっとりと自分を眺めるリンゼイに、ジョシュアは苦笑しつつ聞いてくる。
「はい。こんな素敵な方が私の恋人だなんて信じられなくて」
「まだそんなことをおっしゃっているんですか」
ジョシュアは呆れるが、本気でそう思っているのだから仕方ないのだ。
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