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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る



「レオ様が馭者をこちらに寄越したのは、リンゼイ様のためですよ」


「私の?」


「はい。たとえばこのようなことが起ってもいいようにです」


 ジョシュアは更に腰を曲げ、唐突にリンゼイのドレスの裾を捲り上げ、隠れている脚に手を這わした。


「きゃあ!」


 突然のことにリンゼイは思わず声を上げる。ジョシュアはリンゼイの悲鳴を意に介さず、上へと手を滑らせ、ドロワーズをも捲り上げてしまう。


「ジョシュアさん!?」


 リンゼイはゾクゾクと身体を戦慄かせながら、慌てて裾を押さえた。


「と、このように、リンゼイ様が声を出されても、レオ様の配下の者ならば言いふらすようなことをしませんので、レオ様が取り計らってくださったんですよ」


 ジョシュアは手を離し、元の位置に座り直し、澄ました顔で説明する。リンゼイはといえば赤い顔で池の鯉のように口をパクパクとさせている。


「もちろん、私はレオ様と違いますので、このような場所で不埒な真似などいたしませんが」


 リンゼイの足を撫で上げても涼しい顔をしているジョシュアもジョシュアだが、不埒な真似をする前提で馭者を代えるレオナルドもレオナルドだ。






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