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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る




 ジョシュアにドキドキさせられっぱなしでぐったりとしつつ、リンゼイは夜会に出席した。いつものようにダンスをしたり歓談したりと、賑わう時間を愉しんでいるときだった。


 レオナルドが友人に呼ばれ少し離れた隙に、リンゼイに学校で出来た友人たちが数人で声をかけてきた。その中には今夜の主催である伯爵令嬢もいた。


「王女さま、愉しんでおられますか」


「はい。とても素晴らしい会で感動しております」


「それはよかった」


 彼女はそう言ってから友人たちと顔を見合わせる。なにか言いたげな表情だ。どうしたのかと促すと、彼女はリンゼイの耳に顔を寄せてきた。


「王女さま。その……殿下とご婚約されたというのは本当ですか?」


「え……えぇっ!?」


 レオナルドと自分が婚約!? どうしてそんな話が出たのか解らず、驚愕のあまり大きな声を出し、注目を浴びてしまう。


 慌ててリンゼイは周囲の人に頭を下げ、彼女たちに向き合った。


「そのようなこと断じてありませんわ」


「そう……でしたか。皆さんの間で話題になっていたもので。違うのでしたらいいんです。ご不快な話をして申し訳ありません」


 その後、レオナルドが戻ってくるのに気が付いた彼女たちは、少し気まずそうにその場をあとにした。




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