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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る




 レオナルドに何があったか聞かれたが、その場では注目を集めてしまったこともあり、彼には話せず、帰りの馬車でジョシュアにその話をした。


「なぜか私と殿下が婚約をしてるという噂が立ってしまっているみたいなんです。本当に噂ってあてになりませんよね」


 心外だとばかりにリンゼイは話す。


「ああ、そのことですか」


「え? ジョシュアさん、知ってらしたんですか」


「レオ様から聞いておりますよ。ご学友の間でもっぱら噂になっているだとか」


「殿下も知っていたならどうして否定して回ってくださらないのかしら」


 リンゼイはつい不貞腐れてしまう。ジョシュア以外と噂になどなりたくないのに。


「レオ様は私との関係の隠れ蓑になってくださっているんですよ」


「隠れ蓑、ですか」


「ええ。私とリンゼイ様の関係は公に出来ないものです。とは言え、公に出る可能性は限りなくゼロに近いですが。あとは他の男がリンゼイ様に近づかないように、レオ様が盾になるという意味でわざと否定なさらないんですよ」


 そういうことか、と一瞬でもレオナルドに対し不満を抱いた自分を恥じ入る。


 彼が自分たちのために一番尽力してくれているのに、浅はかだった。




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