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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る
「でも、アリエッタ様に申し訳ないわ。彼女の耳にも届いてますよね」
「それにもご心配は及びません。お二人が仲睦まじいのは私もよく存じておりますし、侍女の話からもアリエッタ様に特に変わった様子もなく、毎日お健やかにお過ごしのようですよ」
「よかった。もし噂のことを聞かれても、きっと殿下から話してくださってますよね」
今日、アリエッタはリンゼイにとても良くしてくれた。彼女が自分たちのことで気に病むようなことがなければいいと願い、ジョシュアの言葉により安心し胸を撫で下ろした。
それから数日後。侯爵から正式に養子縁組の断りの連絡があった。
理由はひとつだ。爵位を継ぐ者ができても、血が絶えてしまうのに変わりないからだという。
爵位を優先させる者もいれば、血縁に重きを置く者もいる。侯爵は随分悩んでおられたそうだが、夫人とも相談し、やはり血縁者でない者に継がせられないとの判断を下したらしい。
リンゼイはたいそう気落ちしたが、レオナルドにはまだ当てがあるらしく、心配しないよう言い聞かされた。
養子の受け入れ先が決まればすぐにでも手続きが踏める準備はあるので、まだ十分に間に合うから、と。
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