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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る
リンゼイは夜、一人になった部屋のバルコニーで、空を覆いどこまでも続く美しい宝石の瞬きを眺める。
自然と胸元で指を組み、宝石の星空よりももっと高くにおわすだろう神に祈らずにはいられない。他になにもいらない、何も望まないから、ジョシュアとの未来をお守りください、と。
夜風が肌を撫で、体温を奪っていくが、寒さなどまったく感じない。ジョシュアがこれまで抱えてきた凍てつくような思いに比べたら、肌寒さなどどうってことないのだ。
彼が自分の傍で笑顔でいられるなら、それを守りたい。あの穏やかな笑みを奪わないで欲しいと何度も願う。
「──リンゼイ様。こんな所におられましたか」
開け放たれたバルコニーの向こうからジョシュアの声がし、組んでいた指を解いて振り返る。ジョシュアは手に持っていた物をテーブルに置くと、椅子に掛けられていたブランケットを持ちリンゼイの傍まで歩いてくると、肩にふわりと掛けてくれた。
「あまり風に当られますと、お身体に障りますよ」
「はい。ありがとうございます」
まだ祈っていたい気分だったが、ジョシュアに促され部屋へ入る。ジョシュアがバルコニーに続く窓を閉め、カーテンを引いた。
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