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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る



「それはそうと、レオ様からご伝言があります」


「殿下から? なんでしょうか」


「明日リンゼイ様は学校をお休みになり、視察に行ってほしいとのことです」


「視察、ですか」


 予定にはなかったが、急遽決まったのだろうか。


 滞在中、医療技術の発展しているラインハルトの病院や、貿易が盛んに行われる港町に行ったりもしたが、どこもカンターヌでは見られない光景で、とても勉強になった。


 明日から行く場所でもしっかりと勉強をしなければ、とリンゼイは背筋を正してジョシュアに訊ねる。


「今度はどちらに行くんですか」


「それは着いてからのお愉しみです。あと、行くのは私と二人でですよ」


「え……? ジョシュアさんと二人きりで!?」


「ええ。数名の兵はつきますが……お嫌でしたか」


「とんでもないです! すごく、すごく嬉しいです!」


 視察は公務だ。つまり遊びに行くわけではないのだが、ジョシュアと二人だと思うと、公務であっても愉しみになってしまう。


 眼を輝かし、つい身を乗り出してしまうリンゼイにジョシュアはまた苦笑し、立ち上がる。


「そういうことですので、今夜はごゆっくりお休みください」


「はい!」


 興奮して眠れそうにないが、体調を崩してせっかく二人で出掛けられるチャンスを逃すまいと、リンゼイは早々に寝台に横になった。





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