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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る





 翌朝ジョシュアと視察に向かうのにリンゼイについた兵は、レオナルドの私兵だった。これまでレオナルドと視察に行ったときは王城の兵だったが、今回に限り彼の私兵とは変だな、と首を傾げたが、馬車でジョシュアと二人きりになってしまえばそんなことはすっかり忘れてしまう。


「あの……」


 馬車を来る馭者は今日もレオナルドの私邸で働く者だったが、一応声を潜め声をかける。


「なんでしょうか」


「隣に座ってもいいですか」


 リンゼイは頬を赤らめ訊いてみる。長時間、ジョシュアの姿を眺めるのも捨てがたいが、少しでも傍にいたい気持ちが勝ったのだ。


「まったく、あなたという方は……」


「ダメ……でしたか」


「いいえ」


 ジョシュアは短く言い、腰を上げてリンゼイの横に腰を落とす。


 腕が触れ合う距離に彼がいると思うと鼓動が煩く騒ぎ出し、自分で言い出したことなのだが、このドキドキに長時間耐えられるか心配になるくらいだ。


 ますます顔を赤らめ、俯いてしまうリンゼイの耳元にジョシュアが唇を寄せてくる。


「そんなにも私と不埒なことをしたかったんですか」


 ジョシュアも声を落とし、その低い声色が耳朶に響きゾクリと肌が総毛立った。





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