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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る
ジョシュアはリンゼイの指を舐めていたときの壮絶な色香を収め、清廉ないつもの彼に戻り、唇を引き結ぶ。
「リンゼイ様。先ほど申し上げたことをよくよくお心に銘じませ」
「……ッ」
そうは言われても、好きな人の傍にいたいという女心も解って欲しいと思うが、どうやらジョシュアはよく解っているらしい。二人の間で手は握られたまま置かれ、彼は元いた位置に戻ろうとはしなかった。
それにジョシュアの言葉を反芻してみると、彼もリンゼイの言動に心騒がせているということだ。
自分だけじゃなくジョシュアも……。
そう考えると、馬車の中で不埒な真似なんて……と思っていたが、少しくらいならしてもいい気持になってしまった。
ラインハルトの首都メフィスを出て半日。目的地に着いたらしい馬車は緩やかにその足を止める。
ジョシュアが先に降り、手を差し伸べてくる。その手に手を乗せ降り立つと、そこは一軒の可愛らしい邸が建っていた。
──緑色の屋根の白亜の館。周りは森で囲まれ、とても静かな場所だ。
「ジョシュアさん。ここが視察場所ですか」
一見して、病院とは思えないし、周りに栄えた街があるとも思えない。どちらかと言えば、貴族が保養地として使う邸のようだ。
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