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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る




「言ってくださればよかったのに……」


「それではサプライズにならないでしょう」


 悪戯っぽく微笑むジョシュア。またひとつ知らない表情を見れて、心が浮足立つ。それに自分のためにサプライズを用意してくれたことへの感謝が広がる。


「それにリンゼイ様はなんでもお顔に出てしまいます。お教えしていたら建前が台無しになってしまいますからね」


「う……。気を付けます」


 ライラと同じことを言われ居心地が悪くなるも、ジョシュアの心遣いが嬉しいと思う気持ちの方が断然勝っていた。


「じゃあ……あの、今日はずっとジョシュアさんと二人でいられるんですよね?」


 ジョシュアが子供の頃に過ごしたこの邸で、誰の眼も気にせず過ごせると思うと、自然と口許が緩んでしまう。


「その意味をきちんと理解しておられればいいんですが」


「え?」


「いえ。とりあえず中へどうぞ。管理は行き届いているはずですので、ご案内いたします」


「はい! お願いします!」


 ジョシュアの独り言のような声は小さく、聞き取れなかったリンゼイは、半日馬車に乗り通しだった疲れも忘れ、白亜の邸の中へ踏み込んだ。





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