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王女様の不埒な暴走
第9章 王女は甘いひと時に浸る
玄関ホールには来客があってもいいようにだろうか、重厚で品のいいテーブルセットが据えられ、天井には鳥かごを模したシャンデリアが邸の可愛らしさを際立てている。
玄関ホールの正面には曲線を描く2階へ続く階段があり、手すりの柵は猫の脚が模してあった。2階は寝室が数部屋とゲストルームがひと部屋あるとのことだ。
ジョシュアによって他の部屋にも案内してもらう。
陽の光が多く取り込めるように造られた食堂、落ち着いた雰囲気のサロン、子供たちが遊べる娯楽室。
それだけ見てもジョシュアの父が手放さなかった理由が解る気がする。
初めて来た場所なのに居心地がよく、リンゼイすらも懐かしい気分にさせる。
「ここはジョシュアさんが保養にいらしてた頃のままですか」
「ええ。前の持ち主はほとんど手をつけていなかったのが幸いで、私の記憶にある通りです」
娯楽室のテーブルや椅子は角が取られ、大人が座るには小さなもの。それをジョシュアは指で撫で、懐かしそうに微笑んだ。
彼の特別な場所に自分を連れて来てくれたことを嬉しく思い、けれど彼の寂しさを感じ取り、気が付けばジョシュアの背にそっと身を寄せていた。
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