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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
レオナルドは周りを見渡し、リンゼイに耳打ちする。
「少しお話できますか。ここでは誰が聞いてるとも知れないので、場所を移動しましょう」
話とはジョシュアのことだと直感する。人が少なくなったとはいえ、全くいないわけではない。込み入った話をするには適してない。
リンゼイはレオナルドの誘いに応じ、着いて行く。見えてきたのはモスグリーンの枠に縁取られるガラス張りの温室だ。
その入口に立ったレオナルドは懐から鍵を出し、鍵穴に差し込む。カチャリと小気味いい音がし、彼は金色の繊細な彫り物が施されるドアノブを捻り扉を開けた。
「どうぞ」
促され温室に入る。外の空気より気温や湿度が高いが、不快なほどではない。育てられる草花はリンゼイが見たことのない種類のものも多く興味を引かれるが、観賞に来たわけではないのだと律し、レオナルドの背を追った。
すると拓けた場所に出て、テーブルや長椅子までもがある。その長椅子に座るように勧められ、リンゼイは頷いて腰を下ろし、レオナルドもその隣に腰掛けた。
「ここは私の直轄で、他の学生は来ません。内緒話をするには最適ですね」
わざとおどけたように話すのは、リンゼイの気分を少しでも軽くしたいからだろう。
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