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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
レオナルドの心遣いには感謝するが、リンゼイは力なく笑うだけだ。
「申し訳ない。私の力が及ばず、王女に心痛させてしまって」
「いえ、私こそ申し訳ありません。殿下が私やジョシュアさんのために尽力してくださっているのはわかっているんです。でも……」
刻一刻と迫る期限に、心労が溜まってしまうのだ。
「あの……ラインハルトでは、養子縁組の手続きにはどのくらいかかるんでしょうか」
「そうですね……。書類が王の元に届けられるまでの期間にもよりますが、大体一週間程度見ていただければ確実です」
一週間……。ではリンゼイの帰国する日を差し引くと、残り一週間しかないということか。
「ですが幸いにも私は王の寝所に夜中であっても叩き起こしにいける立場にあります。遠くに住まいを置く貴族であっても、早馬で書類を私の元に届けさせれば、二、三日で手続きが行えますよ」
リンゼイの不安を拭い去るように、レオナルドはカラリと笑う。だがすぐに表情を引き締める。
「ただ……隠し立てしていても仕方ありませんので正直に言いますと、状況はかなり厳しいです」
「どういうことでしょう」
リンゼイは険しい顔で問い返した。
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