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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
「あいつが……ジョシュアが最終的に私の元を離れ、爵位を得ると決断したのは、王女をスチュワートに取られたくないと考えたからだと思います。王女の婚約の話をしたときのあいつの顔をあなたにも見せてやりたかった」
リンゼイが愕然としているのに反し、レオナルドは愉快そうに語る。
「先ほどの話の続きですが、ジョシュアの養子先がなかなか決まらないのは伯爵位以上でなければならないのも要因です。スチュワートが伯爵子息ですからね。それ以上でなければ国王の気持ちを変えられはしないでしょう?」
つまりジョシュアはリンゼイの婚約を阻止するがため、爵位を得ようと考えたのだ。婚約するにも拘らず、ジョシュアを襲ったリンゼイを軽蔑するでもなく、リンゼイとの未来を得るがために……。
その深い思慮と愛情を思い知り、リンゼイはまた涙する。
「ジョシュアは手打ちになどこの私がさせません。そしてスチュワートとの婚約はジョシュアがさせないでしょう」
「はい……」
何度も頷きながら、震える声で答える。
「ですが状況が厳しいのも事実。婚約は帰国されてすぐ発表されるんでしたよね」
「……はい」
レオナルドは険を帯びた表情で考え込んだあと、ある提案をしてきた。
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