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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……




「私が王女が帰国される際、カンターヌへ同行します」


「え?」


「ジョシュアの名前や身分は伏せ、王女に求婚している者がいると伝え、婚約の延期を申し出てみます」


「あの父がそれで納得するでしょうか」


「やってみなければわかりません。ですが私の身近な者で上級貴族子息の者となれば、無視は出来ないはずです」


 確かに一国の王太子の側近の者で、王太子自らの推挙となれば、たとえ父でも無視はできないだろう。


「なんとか時間を稼げさえすれば、養子という方法ではなく爵位を得るのも可能になります」


「殿下。お願いできますか。どうか私とカンターヌへ行ってください」


 リンゼイは涙を拭い深々と頭を下げる。


「もちろん。ただしこれだけは厳守してください。国王にはジョシュアの名は絶対に明かしてはいけません。ご存知の通り、あいつは今何者でもなく、ただの使用人です。使用人が王女に求婚していると知られれば、それだけで不敬罪として捕えられかねませんからね」


「はい、重々承知しております」


 ジョシュアはなにがあっても守ってみせる。もちろんジョシュアとの未来もだ。


 彼がそうしてくれたように、リンゼイもジョシュアの思いを知り、決意を新たにした。





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